病院見学第一日目。

昨日家族が発熱した甥っ子を救急車で連れて行ったところ足の付け根の腫れをろくすっぽ診もせずに「熱湯でもかけたんですか」などと虐待でもしているようなことを抜かしやがった医者が救急部にいる病院に見学に行く。1400床弱の巨大病院で、わが丸川大学では人気が高い。僕も何回かお世話になったが、今度の甥っ子のことでは少なからず立腹している。まあ、その医者個人の問題なんだろう。

どうしようもなく未熟な僕の見立てでは、甥っ子の足の付け根の腫れは「蜂巣炎」で、チョチョイと麻酔かけて切開して消毒すれば治ると思うのだが。そう簡単ではないのかもしれない。

今日は総合診療部。1時間半ほどのオリエンテーションのあと、外来を見学。ほとんどは何てことない風邪とか、何てことあるものではムンプスやインフルエンザとか、まあそれでもわりと何てことない患者さんが続く。人間ドックのレントゲン写真で引っかかってきた人なんか、そのレントゲン写真にどんなに目を凝らしてみても何がおかしいのやらちっともわからない。まあ、こんなもんだけど、こんなもんの中に混ざってるとんでもないもんをちゃんと引っ掛けられるかが大事だよねー、と先生はおっしゃった。

午後は病棟の回診に参加。さすが総合診療部(アレルギーと膠原病もここが診る)、なかなかにわけのわからない患者さんが揃っている。体温が28度しかなかった人(家に暖房器具がなかっただけらしい)や難治性の紫斑病の人、ちょっとした薬や食品でもアナフィラキシーショックを起こしてぶっ倒れる人、スティッフマン症候群(運動失調はないが体が硬くなる病気。脳神経系への自己免疫でなると考えられている)などなど、初めてみる病気ばかりで、非常に勉強になった。ただ大学の回診でも3時間半もなかったし、脳性麻痺の人の今後のことで30分も議論していた時には飽きてしまって、早く帰りたいなーとばかり考えていた。

帰りがけに先生がいろいろとアドバイスをくださった。年をとっていることを自覚しているのならのんびりはしていられない。早めに一人前になりたいと思っているのならびしっと研修の出来る施設に行くのがいい、それならこんな田舎じゃなくて都会の病院だ、せっかくのマッチング制度を活用するんだ、東京に行け。とおっしゃった。うーん、今まで考えてもいなかったが、東京かあ。実はここしばらく考えないでもなかったんだよなあ。