腹立つ

その① ジコチューな彼女。


まあ俺もあれですけど、人のこと言えないっすけど、人をバイキン扱いしてさらに「お前と話すことなんかない」宣言されて。俺も大概お人好しっすね。でもだいぶキレてます。


その② ダメ整形外科医。


祖母がデイサービスで足の骨を折り、そこの経営主体である病院へそのまま入院。しかしここは恐怖のライフポケットであり、それを知っている近隣住民は間違ってもこの病院にだけは収容されたくないと思っている。俺も一抹の不安はあったが、そもそもそこの病院でやっちまったことだから、ちゃんと責任を取ってくれるものだろうと思っていた。


整形外科医は、確かに手術そのものはかっちりやってくれた。傷の治りもよかった。しかし整形外科、特に足の骨折を扱う以上は、負傷前の段階になるべく近い状態で退院させることを目標にすべきだろう。しかし、若い頃から明かりなしでは眠れなかった祖母が、消灯後に「暗いから怖い、電気をつけてくれ」と懇願するのを「夜間不穏」→「問題患者」とレッテル張りし(他の病院では枕元の小さなライトをつけることを許可してくれた)、他の患者に迷惑だからと、死の4階病棟に転棟させた。もちろん死の4階病棟というのは俺らが勝手に言ってるだけだが、リハビリ病棟という名目になっているこの病棟は一人残らず腐れ看護師ばかりで、最初から「問題患者」のレッテルが貼られた祖母をまともに看ようはずがない。リハビリ病棟なのに、食事介助はしないわ、水は飲ませないわ、腎臓が片方しかない人間の肉眼的血尿(ちょっと赤いなんてもんじゃない、カゴメトマトジュースレベル!)を一週間近く放置した挙げ句、誤嚥性肺炎の徴候に気づいていながらクラビット100mg1×って何の治療しとるか分からんだろうが!耐性菌作るだけだろうがこのゴミ箱医者どもが!そして血尿に関しては「ご家族で泌尿器科に連れて行ってください」って足の手術して座るのもやっとの人間を車椅子で、看護婦も付き添わせないで家族だけで連れて行けってか!そしてその泌尿器科への紹介状には「血尿はいつから始まったのか」「足の手術後だが、どれだけ足を開いていいのか」に関する情報すら書かれていなかったから診察ができなかった!そんな紹介状しか書けない医者なんかもう医者とは思えない!


いや、買いかぶりすぎていた。そこらへんの整形外科医が医者だと思うこと自体が間違いだった。実は、医学部を卒業する頃は整形外科医になりたいと思っていた。初期研修病院の整形外科の先生方もすばらしかった。しかし、いろんな場所の整形外科医を見ていると不安になり、なんとなく「全身管理は整形外科だとアレだよなー」「やっぱり全身診れてから医者と言いたいなあ」「お客様の中にお医者様はいらっしゃいますかと言われて怯まない医者になりたいなあ」ということを考えて、わざわざ渦中の、過重労働の、絶滅危惧種の、外科にやってきたのだった。


もう祖母の整形外科の主治医を医者だとは思っていない。泌尿器科受診後に、母はそいつに「泌尿器科の先生はなんとお返事されたんですか」と訊いた。たったこれだけのことに、そいつは「僕らはこんなに一生懸命にやっているのに、全然信用してくれてない」と声を荒げたという。本当に寝る間さえ惜しんで真剣に一生懸命にやっている人間はこんな言い方をしない。自分の一生懸命さが足りないと思って落ち込むだけだ。俺と違って母はナトリウム人間だから、激高して何倍か言い返したらしい。


結局、泌尿器科受診の翌日に高熱を出して、肺炎からARDS、血尿(の原因)から急性腎不全となり、呼吸器内科/神経内科/腎臓内科が共同主治医となり最善の治療を施してはもらっているが、生死の境をもう3日さまよっている。戦績は芳しくなく、徐々に敗色濃厚となっている。そばにいてやれない俺はただただ奇跡の起こるのを祈りながら待つばかりだが、「せめてあのデイサービスで骨折したのでなければ、初期研修病院にお任せしたのに」「むしろ俺が今いる病院に連れてきたのに」なんてことを考える日々だ。


不思議で不思議でしょうがないことなのだが、あのゴミ整形外科医は、片腎の血尿と聞いて焦らなかったのだろうか? それ以前に、この患者の孫が医者だと聞いて、たとえ普段はお天道様に顔向けできないような恥ずかしい医療をしていても、ちっとはなんとかしてやろうというプライドぐらい持っていなかったのだろうか? 祖母はおしゃべりだから、この年かさの“若手”外科医が法学部卒業だということぐらいしゃべっていたはずだ。まあ、入れ歯を外した祖母のふがふが声など、こいつは聞きもしなかっただろうが。知らないとすれば、患者に興味がない藪医者だということだ。ただではおかん。