ありがたいことに

編曲の依頼をいただいた。しかしなんと、中国語の歌である。依頼主はいつもお世話になっている県立K高校のH先生。もちろん喜んでお引き受けしたが、断るに断れない形であったことも確かだ。

まず最初に取り掛からなければならなかったのは、譜面浄書ソフトFinaleでどうやって簡体字中国語を入力するか、という問題だった。幸い、WindowsXPはほぼすべての世界の言語の表示および入力に対応してくれているので、中国語のフォントだのIMEだのはデフォルトで搭載されていたのだった(まぢ、素晴らしい!)。Microsoftのアプリケーションだったらこれだけで何の問題もなく中国語がすらすらと入力できるのだが、そうでないFinale君の方は完全に中国語に対応してくれるわけではなかった。正確に言えば、中国語に対応していないのではなく、Unicodeに対応していないのだ。

そこで最終手段。中国語対応として再起動してしまうのだ。こうしてしまうと、Microsoft以外のアプリケーションでは、日本語がまともに入力できなくなる代わりに中国語はきわめてまともに入力できるようになる。日本語を入力する時、中国語を入力する時、いちいち再起動が必要になるが、我慢できないほどではなかろう。

「海よ、わが故郷」というこの歌曲、どうやら中国の人たちの間では愛唱歌といってもいいほど広く歌われている曲らしいが、実は一番しかない。同じ歌詞で二回繰り返してもいいが、そもそも日中交流の演奏会のようなもので歌われるらしいから、日本語詞があったら面白いんじゃないか?などと思い、僭越ながら日本語詞をつけてしまった。これを2番として間奏をはさみ、盛り上げたあと静かに終わる構成とした。

というわけで、ご依頼をいただいてから2泊3日で完成。韓国語詞のおまけつき。ちなみに韓国語だったら、これほどの苦労をせずともFinaleでの入力が可能な環境にはなっている。